め組の人

いつもの仲間とまたぞろ飲み会。会社近くの居酒屋でどんちゃん騒ぎ。ところで、毎度おなじみ【そんな夕子】な課長ってのはちょっとした色男なんすよ。だからモテない部長殿は常日頃から面白くない。ことあるごとに

「騙されちゃイカンぜ川中よ。なんだか知んねーけど、女はみんなアイツにまいっちゃうんだから。マジで気をつけろぃ」

と言う。なにをどう気をつければいいのかよくわからんのですが。
で昨日の飲み会で先輩OL(仮名・ネコちゃん)が

「そんな夕子な課長の声ってすっごく渋いですよね」

とうっかり洩らしてしまったトコロ、例の部長が食ってかかる。

部長「なに?! ネコちゃんまでもがイカれたか! くううぅぅぅ どーなってんだ、世の中は。こーなったら言っちゃうけどね、こいつはこんな顔してホントはすっごくスケベな男で、昼真っから奥さんといい子ちゃん、いい子ちゃんしてるんだぜ」
ネコ「??? いい子ちゃん? ですかぁ??? あ、わかった!(赤面)」
部長「そうそう(満足気にうなずく) いい子ちゃんしてるのよ、まっ昼間から。ぐふふ」
川中「あららら、課長ってば元気ですねぇ。うむ、スゴイ」
課長「もー、川中さん、変なところで感心しないで下さいよ。そこは感心する場面じゃないですよ。まったく、なんでそんなこと部下に言うんですか、ブチョー!」
部長「だってホントのことじゃんか」
課長「あーあーあー、じゃあじゃあ、僕も言っちゃいますよ。そんならブチョーだって、ほら、食っちゃイカンあの女性を、ホラ」
K氏「おうおう! それは知ってる! おお、そうだ。そーなんだよ、川中君。こやつはだな…」

と、その日はシモネタの大暴露大会。もう手がつけられない状態。いつもだって品よく飲んでるわけではないけど、この日は特におゲレツな酒品。

ネコちゃん「カマナカよ、この宴会は一体どんな風に幕切れになるんだろうか…」
カマナカ「幕切れなんてなくって朝まで飲む羽目になるのかもしませんぜ(つかオメーだろが火付け役は)」

なんて小声でぼそぼそ話していたら、これまで全然口を挟まずに、ひたすら聞き役だった-純情おやぢY氏-の一声でこの騒ぎは鎮火。

Y氏「気持はあるんだけど、半ば強制的に現役引退なんだよね、僕。それにさ、タエコ(妻の名)一筋だったから、そういう風に女の人と何かイイコトがあったこともないしさ。引退選手にはなんかさびしいなぁ…この会話。この流れ。」

一同「……………………。」

Y氏のことをこれからは「め組の人」と呼ぼうと、心ひそかに決めた川中なのでした。