アキラ

会社の昼休、先輩OLと食事をしながらの会話。



先輩 「ねーねー、アタシね、最近アキラにはまってるの〜」

川中 「え? 奇遇ですね、アタシもアキラはまりです。ここ数ヶ月」

先輩 「え?! ホントに? ディナーショーとかに行こうよって友達を誘ってるんだけど、あんまり感触がよくないのよ〜」

川中 「行きたいです! でも―美しい十代―しか歌わなかったらどうします。あればっかじゃ、いくらなんでも飽きるでしょう。レパートリーあるんですかねぇぇぇ」

先輩 「???? 美しい十代ってなによ?」

川中 「なに言ってるんですか、往年のヒット曲じゃないですか、アキラの」

先輩 「ア、アキラ違いだ…こっちのアキラはシクラメンだもん」

川中 「なーんだ、布施か。それなら前言撤回。ディナーショーなんて行きませ
ん」

先輩 「川中のアキラってのは、もしかして −イリヤバンセイ資産運用心得帳―のおっさんかいな」

川中 「他にいますか、アタシの好きなアキラが。三田さんに決まってるでしょうが」

先輩 「やだぁ! だってさ、あのひとっていやらしそうな感じじゃーん。ぱかぱか馬に乗ってスケベツラをさらしてる、あのアキラでしょ」

川中 「何をゆーてまんねん。あのスケベさがエエンでないかいな」

先輩 「おたくのアキラに比べば、うちのアキラのなんと上品なことか」

川中 「そういう布施だって毛深そうでいやです、アタシは。そういえば先輩、毛深い男は嫌いだっていってたくせに」

先輩 「愛は毛深さを越えるのよ! 真綿色したぁ〜♪ なんて耳元で歌われたら,毛深いことすら素敵に思えちゃうわよ」



こういうカンチガイって結構あると思うんだけど、いくらなんでも三田明と布施明を間違えなくってもいいんでないかと思うお昼休みの川中。しっかし、女も三十路を超えると会話がすごいですねぇぇ。